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Photographed by tsubottlee

東京都の閑静な住宅街にあるマンションの一室が、今回ご紹介する月日さんのお住まい。

在宅時間が増えたことをきっかけに物件を探し、「日々を気持ちよく過ごせる空間」を目指して、フルリノベーションしたのだそう。

そんな月日さんのこだわりが詰まったお部屋について伺いました。

お名前(職業):月日さん(会社員)
場所:東京都
面積:64㎡
築年数:約47年
住宅形態:マンション

 


この部屋に決めた理由

コロナ禍で自宅で過ごす時間が長くなり、住まいについて見直そうと考えた月日さん。静かな環境と広い空間を求めるなかで知ったのが、リノベーションという選択肢でした。

せっかくならONもOFFも気持ちよく過ごせて、自分が本当に好きな部屋にしたいと思い、マンションリノベーションを決意。理想の部屋づくりは、エージェントへ相談することから始まりました。

「在宅での勤務が中心となって時間もできたので、4ヶ月の間に10件ほどの物件を見ましたね」(月日さん)

いまの住まいを選んだ理由は、思い切り壁を打ち抜ける物件であること。また、眺望の良さ、静かで緑の多い周辺環境、管理状況やマンション共用部といった、変えられない部分を重視して決めたのだそう。

物件を決めてから最初につくったのが、自身の住まいづくりの要望をまとめた「おうち企画書」です。

「設計士さんは入れず、リノベ会社さんと一緒に間取りやデザインを考えました。長年の夢や大切な思い出からイメージを膨らませて部屋づくりをしていきました」(月日さん)

お気に入りの場所

思い出の夜行列車をイメージした寝室

デザインが特徴的な寝室の窓。これは月日さんの大切な思い出がルーツになっています。

「幼い頃に毎年乗っていたブルートレイン(夜行列車)の車窓や古い喫茶店のようなラウンド窓が好きで、寝室の室内窓に取り入れたいと思っていました」(月日さん)

部屋の内側には、ホテルライクな照明に、モールテックス社のモルタルを用いた塗り壁を採用。洞窟のようなおこもり感もありつつも、抜けのある空間になっていて、「部屋の中からも外からも、どちらから見る景色もお気に入り」なんだそう。

ベッドサイドのスツールには、寝室での時間を豊かにする香りアイテムや書籍を配置。ゆったりと落ちついて過ごせる安心感がありながらも、まるでどこかへ旅する際の車中のような、ワクワクする気持ちにもさせてくれる部屋でした。

夢を叶えたおうち図書館

家に図書館をつくるのが昔からの夢だったという月日さん。住まいの一室には壁三面にわたる本棚がつくられていました。

「本を読むことが好きで、たくさんの本を持っています。住まいづくりを進めるうえで、本の保管場所として、また読書に浸れる場所として、“図書館”はぜひつくりたいスペースの1つでした」(月日さん)

そこで、リノベーションの機会に、持っていた本のサイズや数を改めて確認し、造作本棚を大工さんにしつらえてもらったのだそう。

「以前の住まいでは、本棚の圧迫感や、本の文字や色による視覚情報の多さから、どこか忙しなさを感じてしまうこともあって……。この家では、リビングから見たときに視線がある程度遮られるよう、室内窓で仕切ることにしました」(月日さん)

リビング側を除く本棚は、棚板の高さ調整が可能。収納するものに合わせて変えられるおかげで、本以外にも、仕事で関わった作品や思い出のアイテムが飾られていました。

居心地の良いワークスペース

本棚と隣接して設けられたのがワークスペース。在宅勤務の増加に合わせて仕事環境を整えるべく、住まいの中でもこだわった場所の1つだと振り返ります。

「夜遅くまで仕事をすることもあるので、長い時間を集中して過ごせるようにしたくて、窓際の気持ちの良い場所にワークスペースを設けることにしました」(月日さん)

窓際のデスクは、スペースに合わせて造作。「資料を広げても作業ができるように」と、広めのデスクをつくってもらったのだそう。

デスクの前の窓は、引っ越した当初はカーテンをつけていたそうですが、理想の空間を目指して憧れのウッドブラインドに。「夕日を眺めながら働くのが良いリフレッシュになっています」と語ってくれました。

好きな色合いでまとめたサニタリー

浴室、洗面、トイレなどのサニタリーは、青色を基調とした空間になっています。

「飽きっぽいので基本は白い壁紙の住まいですが、面積の少ない水回りは、アクセントクロスやタイルや真鍮など、好きなものを細かく選ぶのが楽しかったです。特にお気に入りなのは浴室で、ツルツルした壁や暖色が苦手だったので、マットな寒色系でシンプルにまとめました」(月日さん)

お気に入りのアイテム

思い切りくつろげるソファ

リビングでお気に入りだと話していたのが、unicoの「GREIGソファ」。2.5シーターのソファにオットマンを組み合わせて、ゆとりのあるくつろぎスペースになっています。

「落ち着いた色合いとコーデュロイ素材に憧れがあって、引越しに合わせて新調しました。オットマンはテーブル代わりにも使っています。座面が広く、適度に沈む感じが気持ちよくてたまに寝落ちしちゃいますね」(月日さん)

点けても消してもかわいい照明

ソファと合わせて、リラックスタイムに外せないのが照明。FLOSのフロアスタンドライト「GLO-BALL」は、住み始めてしばらくしてから購入したのだそう。

「フルリノベで理想の部屋づくりを考えているとき、特に楽しさと難しさの両方を感じたのが、照明でした。素敵なライトがたくさんありすぎて、選ぶのが大変でしたね」(月日さん)

夜にリラックスしたいときは、この一灯で過ごしているそう。「灯りを消しているときもかわいくて、我が家では“雪見だいふく”と名付けて愛でています」と語ってくれました。

残念なところ

オープンな収納が多すぎた

広々とゆとりある空間が印象的な月日さんのお部屋ですが、収納の使い方については模索中なのだそう。

「収納は後でも考えられるようにと、オープンなスペースを多めにつくりました。外から見えるぶん、キレイな状態を保とうと意識できるのは良い点なのですが、完全に見えない収納をもう少しつくれば良かったなと思っています」(月日さん)

特にウォークインクローゼットは荒れやすいそうで、「気になってしまうので、隠せる収納をもっと整えていきたい」と教えてくれました。

これからの暮らし

住まいは「まだまだ発展途上、もっと楽しめる」と話す月日さん。

「いまは“おうち育ての途中”だと思っていて、まだ余白のある壁にはお気に入りのポスターや絵を見つけて飾りたいし、大きな観葉植物も育ててみたいです」(月日さん)

いまの物件は、ライフステージが変わったときのリセールも考えてリノベーションしたそうで、「もし手放すときがきても、この家を住み継ぎたいと思ってもらえるような空間にできたらうれしい」と話してくれました。

今回の住まいづくりを通して、「大変なこともあったけど、また挑戦してみたい」という気持ちも湧いたという月日さん。理想の住まいづくりへの夢はまだまだ膨らんでいきそうです。

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