Photographed by tsubottlee
今回お邪魔したのは、家具やインテリアなど住まいにまつわることにもともと関心が高かったという藤井さんのお住まい。大きな窓から差し込む光と、少し変わったリビングの形が特徴的なおうちです。


理想の設計事務所をじっくりと探し、土地探しにも、設計士との家のイメージのすり合わせにも、納得いくまで時間をかけたという藤井夫妻。
相談を重ねていくなかで、設計事務所側から提案されたのは、このおうちの特徴となった“あるアイデア”でした。それは家具やインテリアが好きな藤井夫妻だからこそされた提案で、2人も納得のいくものだったといいます。
そのアイデアが採用されたこだわりの空間について聞きました。


この場所に決めた理由

夫婦ともに住まいへの強いこだわりがあったことから、設計は、柔軟な対応と施工事例に惹かれた地元の設計事務所「neie(ネイエ)」へ依頼。まずはどんな思いを伝えたのでしょうか?
「長く住む場所になるので、立地については1つのテーマでした。中心街へのアクセスや、それぞれの実家にも帰りやすい利便性は大切にしたいと思っていましたね。

同時に、利便性とは相反する要素かもしれませんが、落ち着いた環境で暮らしたいという思いもありました。
夫婦揃って田舎の戸建てで育ったこともあり、やっぱり自然や緑を感じられる暮らしができたらと考えていて、それを設計事務所にも最初にお伝えしました」

藤井夫妻の希望に応えるように提案されたのは、利便性の良いエリアでありながら、近隣の住宅と向かい合うことがない、眺望が開けた土地。
さらに、緑を近くに感じられるように、住まいには大通りの並木の緑を借景として窓から取り入れることに。これらの提案は、まさにイメージにぴったりだったといいます。
お気に入りの場所
青いカーペットで、ホテルのような寝室

玄関からすぐの場所に設けられていたのは、鮮やかな青のカーペットが印象的な寝室。
「住まいづくりのために情報を集めていくなかで、心惹かれた空間に建築家・吉村順三さんが手掛けた軽井沢の山荘がありました。
そこは鮮やかな紫のカーペットが素敵だったのですが、さすがに紫は勇気が出なかったので青を選びました。

また、ホテルのような空間にしたいとも思っていたので、カーペットを採用してよかったですね。肌触りも優しく、雰囲気もいいので落ち着く空間を演出してくれています。

ちなみに、窓から⽇差しがキレイに⼊る13〜14時ごろが好きなんです。日の光が壁を照らす様子は、何度⾒ても『素敵!』と感じます」

この寝室は、お子さんの遊び場にもなっているうえに、室内壁の裏にウォークインクローゼットも設けていることから、身支度スペースにもなっています。
生活のオンとオフを切り替えるための大切なお部屋なのですね。
2人のために提案された「正八角形」のリビングダイニング

階段を上がると広がっていたのは、広々としたリビングダイニング。家具・インテリア好きな2人に合わせて提案された正八角形の空間です。
「設計事務所の方いわく、『直角がないことで自然とインテリアの位置を決め切らずに済む』という話でした。
インテリアにこだわりがない人だと使いづらいけれど、好きな人なら自由にレイアウトも楽しめると勧めてもらって納得でしたね」

住みながら、すでに5〜6回は大きく模様替えをしたという藤井さんですが、現在は小さなお子さんに合わせてレイアウトを固定気味。
動き回っても危なくないように、家具は壁付けにして、中央にフリースペースを広く確保していました。
居心地も使い勝手もいいⅡ型キッチン

リビングと隣接したキッチンは扉がなく、行き来がスムーズな仕様に。また、高い位置に窓がある明るい空間です。
「キッチンはリビングと同じくらい大切な場所。開放感のある大きな窓、そしてそこから見える並⽊の景⾊もお気に入りです。特に朝⽇と⽊漏れ⽇が差し込む時間は、とても気持ちがいいですね」

夫婦それぞれが頻繁に料理をするため、1人でも2人でも使いやすいようなつくりにしたといいます。
「キッチンをⅡ型(セパレート型)にしてもらったから、2人一緒でも料理がしやすくなっているのが便利です。

水栓側の壁にはマグネットが埋め込まれていて、タイマーや調理器具など、好きなものを飾ることができるのも気に入っています」

八角形の間取りを活かして、リビングからは死角となる位置に、扉のないオープンなパントリーが設けられているのも使い勝手がよさそうでしたよ。
お気に入りのアイテム
悩みに悩んで決めた、思い入れのあるラグ

リビングで使っているラグは、名古屋市にある「G.E.M」で購入したもの。たっぷり時間をかけて悩んだ、思い入れのあるインテリアです。
「住まいが完成する前から探していたのですが、いろんなラグを見れば見るほど、何がいいのかわからなくなってしまったんです。
最終的には、すごく親切に対応してくださったお店の方から買い付けのときのエピソードなどを伺ったことで、より思いが増してお迎えしました」
海外から取り寄せた照明

ダイニングで目を惹くのが、ルイスポールセンの照明。
「住まいをつくるに当たって、『ルイスポールセンの照明は使いたいね』と夫婦で話していて、いろいろ見比べながら探していきました。
この照明は電球のソケット部分が特注で、デンマークのお店から取り寄せたものです。実際に設置してみるとやっぱり雰囲気があって、購入してよかったと思える照明ですね」
展示会で一目惚れした棚

おもちゃを収納するための棚として使っていたのが、QUIET SPACE TOOL & FURNITUREの「TAS SUNDAY」。
「家具作家の展示会に行ったときに購入したものです。友人の付き添いのつもりで行ったはずが、この棚を見つけて購入しちゃいました」
棚の上にもおもちゃや絵本を置いて収納ができるのも魅力。もう1つ同じ棚を購入したら、スタッキングして棚を2段にすることもできるみたいですよ。
誕生日にプレゼントしたマトリョーシカ

リビングのキャビネットの上に並んでいたのは、藤井さんの夫の写真をもとにつくってもらったというマトリョーシカ。
「夫の誕生日に私がプレゼントしたものです。私がマトリョーシカ好きで、何を贈ろうか調べていたら、写真を送ってつくってもらえるところがありオーダーしました。
仕上がりのクオリティが高くて、結婚式の際に両親にもプレゼントしました。将来的には子どもも含めた3人でもつくってもらいたいです」
悩んでいること

住まいにこだわりをもってつくり進めた分、不便に感じることはないといいます。しかし、「家族が増えて少しずつ変わってきている」と話していたのが収納スペースについてでした。
「⼦どもが生まれてものが増え、収納に悩み始めました。
⼯夫すればなんとかなりそうな気もしますが、あまり得意ではないため、上⼿に収納されている人のアイデアを参考にしていきたいと思っています」
これからの暮らし

一旦お休みしている部屋の模様替え。お子さんの成長に合わせて少しずつ楽しんでいきたいと話します。
「設計⼠さんが家具やインテリア好きな私たち夫婦と関わるなかで、『模様替えを楽しめるように』と提案してくれた住まいなので、子どものおもちゃやプレイマットなどが必要なくなったタイミングで、模様替えやインテリアも楽しんでいけたらと思っています。

あとは、やっぱり収納。本の収納スペースが不足しているので、本棚を新しく取り付けたいです。
また、おもちゃ分の余白ができたタイミングで、オットマンを加えてより寛げる住まいにしていきたいですね」
理想の住まいを実現させるために、設計事務所とじっくり話し合いを重ねて完成させたこのおうち。
お部屋の楽しみ方も無数に広がっていきそうで、今後のアップデートも楽しみですね。





