Photographed by Megumi Uchiyama
都心から快速で30分ほど。人が賑わう駅から緑が感じられる住宅街に入ると、ヴィンテージ感ある素敵なマンションにたどり着きました。
ここが、2020年にも「みんなの部屋」に登場してくれたハルナさんとほまれさん、そして猫のこむすびたろうくん(通称:こむちゃん)の新しい住まい。
あれから数年、2人は築45年の中古マンションを購入し、リノベーションを経て昨年末から新しい生活がスタートしました。


広さ65平米の室内は、壁や仕切りの少ない開放感のある間取り。玄関からLDKへと空間がゆったり続き、リビング、ダイニング、キッチンが広く広がります。そこからパントリーや寝室、クローゼットへとゆるやかな動線で繋がっていきます。
家具の配置やインテリアの工夫で、おおらかに空間が仕切られ、それぞれに居場所があります。どの部屋にいてもさりげなくお互いの気配を感じられ、開放感とリラックス感が溶け合った空間なのです。
そんなお部屋づくりに至った経緯やお気に入りの場所をじっくり聞きました。



この部屋に決めた理由

いま暮らしているこの街は、ハルナさんの職場に近く、都心へのアクセスも良好。駅まわりは賑やかで、しばらく歩くと落ち着いた雰囲気の住宅街があり、緑も広がっています。街を巡りながら夫婦は「自分たちの暮らしに合っている」と感じたそう。
そんな矢先、不動産屋さんから「すごくいい物件があります」とすすめられたのがこのマンションでした。
「建物を見たとき、ヴィンテージ感があってエモくて、長く暮らしている方が多く、素敵だなぁって思ったんです。修繕費の積み立てや共用部の掃除もきちんと行われていて、建物自体の評価も良く、夫は新耐震基準をクリアしていることに安心していました」(ハルナさん)

「将来ずっと住み続けるというよりは住み替えを視野に入れて探していたので、資産価値としても良い物件だと思いました。築年数が経っている住居の場合は安心も欲しかったので、そんな部分も決め手になりました」(ハルナさん)
お気に入りの場所
念願だったパントリー

キッチンの横にあるパントリーは、ハルナさんが一番こだわった場所。ずっと憧れていた空間です。
「曲線が好きで、片側をアール壁にしてつくってもらいました。アーチになると可愛くなりすぎてしまうので、片側だけを曲線にしたんです。とても気に入っています」(ハルナさん)
パントリーはトンネルのような空間で通り抜けができ、不思議な籠り感があります。扉や目隠しがない分、出入りがしやすく、使い勝手の良さを感じるつくりです。
「なるべく生活感をなくしたかったので、オーブンレンジや炊飯器などの家電はパントリーの中に置きました。Wi-Fiのルーターは一番上の棚に設置して、LDKからは見えないようにしています」(ハルナさん)

2段の棚に分けて3つ並んでいるのは無印良品の「やわらかポリエチレンケース」です。「このケースを使いたいことを伝えて、サイズに合わせて棚をつくってもらいました」とハルナさん。
やわらかポリエチレンケースは、手をかけて引き出しやすく、食品や日用品などのストック場所として重宝しています。
キッチンは大切な“自分の居場所”

もちろんキッチンもお気に入りの場所です。
キッチン本体と中央のカウンターはどちらもtoolbox(ツールボックス)で選んだもの。カウンターは片側を壁につけて設置し、作業台と食器棚を兼ねて活躍しています。冷蔵庫やオーブンレンジはパントリーにまとめて、キッチンと行き来しながら料理をするのが日常です。

ハルナさんにとってキッチンは“自分の居場所”。パントリーのつくりやキッチンとの動線などに加えて、もっと細かな部分までこだわりを詰め込んでいます。
そのひとつは「白いタイル」です。キッチンを囲むように壁には白いタイルが構成されています。
「白の空間は清潔感があって、きれいに見えるから憧れていたんです。インスタでいろいろなキッチンを見て、白いタイルは絶対にやりたいな、と思って」とハルナさん。

調味料や調理道具を置けるように、白いタイルの腰壁は奥行をゆったりとったデザインに。キッチンに立つと白いタイルが目に入って心地よさもひとしおです。タイルには艶があり、写真映えも期待できます。
「タイルは汚れがすっと拭えて、掃除がしやすい点も気に入っています。きれいな状態を簡単に保てるのはいいですね」(ハルナさん)
見た目だけではなく、白いタイルには機能的な側面もあり、使い勝手の良さを実感する日々だといいます。
大正解な“リビング洗面”
リビングに大胆に置かれたのは、なんと洗面台。

カウンターは防水性に優れた強度のあるモールテックスで仕上げ、サンドベージュの色味に。鏡はtoolboxで見つけたリビングに馴染むデザインを採用し、水栓はサンワカンパニーの黒いものを選んでアクセントにしていました。

この洗面台は、手洗いや洗顔だけでなく、メイクまでもできるドレッサーのような場所。
「洗面台って意外といる時間が長いですし、リビングで夫と会話をしながら使えるので気に入っています」(ハルナさん)

もともとハルナさんは、土間に洗面台を置くことに憧れていたのですが、間取りの関係で実現は難しく、代案としてもらったのが“リビング洗面”でした。
リビングに洗面台を置く発想は意外ですが、実際に使ってみて大正解だったと振り返ります。
「友達が来たときも案内しやすく、すぐに手を洗えて便利です。リビングにあることで、いつもきれいにしようというモチベーションになり、掃除をするスイッチがすぐに入ります」(ハルナさん)
こむちゃんの居場所
おうちの中にはこむちゃんの居場所がたくさんあります。

こむちゃんのトイレを置いている場所にはベンチを設置。
「猫グッズを置いたり、荷物をのせたりして使っています。壁の小窓の向こうには夫の部屋があり、足元にはこむちゃんの通り穴をつくって出入りできるようにしています」とハルナさん。
こむちゃんは、キッチンやリビングの様子を眺めたり、作業部屋とLDKを行き来したり、自由気ままに過ごしていました。


ほかにも居場所はたくさんあり、かごやキャットタワーなどもこむちゃん専用の場所です。
取材中にはダイニングテーブルの上で寝転んだりと、いろんな場所でくつろぐ姿が見られ、こむちゃんを中心とした暮らしが見えてきました。
お気に入りのアイテム
一人掛けのソファ

リビングにあるのは、LOOSY(ルージー)のビーズソファと、無印良品のソファです。あえて一人掛けを購入しています。
「好きな場所に置けて気軽に位置を変えられるソファがいいなと思い、一人掛けのものを選びました。結構大きいですが、軽くて動かしやすいのがいいですよ」(ほまれさん)
持ってみると確かに軽く、普通の家具よりも気軽に位置を変えられます。
「友人が子どもを連れて遊びにくることが多く、そんなときもソファが動かしやすいとスペースを作りやすくて便利です。あとは掃除がしやすい点も気に入っています」(ほまれさん)

ほまれさんはソファからの眺望もお気に入り。
「僕は窓の外の景色が気に入っていて、ソファに座って外を見て、空が広がっているのを眺めるのが好きなんです」(ほまれさん)
部屋を照らす数々の照明

家の中をめぐるなかで、さりげなく存在感を放っていたのが照明でした。

キッチン、洗面台、ダイニング、寝室、廊下など、至るところにデザインの異なる照明が設置されています。

特に気に入っているのは、ベンチの上に設置したJOURNAL STANDARD FURNITUREのライトです。
「一目惚れしたライトなんです。もともとはトイレに付けようと思っていたのですが寸法が合わず、場所を変えました。いつも見える場所なのでここでよかったです」(ハルナさん)

天井にはレールを這わせ、そこに照明を取り付けている場所も。「住みながら居心地のいい空間を作っています」とハルナさん。

電球色を使っているため、夜は落ち着いた雰囲気に。どのライトをつけるかで、部屋の雰囲気が変わり、昼間との印象の違いを楽しみながら暮らしています。
アクセントになるマットやラグ

MYTONE「BATH MAT」Balnea

JOURNAL STANDARD FURNITURE「QUEST RUG」
最近は彩りのあるものを増やしているということで、「MYTONE(マイトン)」のマットは手軽な空間のアクセントになっているそう。
また、JOURNAL STANDARD FURNITUREのラグも愛用しています。
「家をシンプルにつくってきたからこそ、色のある小物を増やしたいと思っています。本当は絵を飾ったりしたいのですが、壁に穴をあける勇気がまだなくて……。マットやラグは置くだけなので手軽に表現できていいですね」(ハルナさん)
これからの暮らし

気になるところは手を加え、より使いやすくしていきたいと2人は語ります。次はリビング洗面の収納をアップデートをしていく予定なのだとか。
「洗面台の収納をもっとすっきりさせたいと思い、収納をどう工夫しようか考えているところです。インスタなどでいろいろな収納アイデアを見て、計画を立てています」
また、少しずつ色や小物を置いていくのも計画中。ポスターや絵画を飾ったり、小物を置いたり、空間を豊かに楽しんでいきたいと語ります。

好みをたっぷり詰め込んだ開放感あふれる空間。これからどんな風に変化していくのか、ワクワクが止まりません。
ROOMIE Instagramでは、暮らしのルールやおうちのことなどもインタビューしてみましたよ。





