「趣味に割く時間がなかなか取れない」というのは、忙しい日々をおくる現代人に共通する悩みかもしれません。
フリーランスのライターとして働く筆者自身も例外ではなく、仕事や家事に追われ、いつのまにか趣味だったはずの映画や音楽鑑賞に割く時間が減っています。
そんな現状を寂しく思っていたときに舞い込んだのが、昨年のHarman Kardon新型オーディオの取材でした。

実はそのときから「我が家でもあの音響を体験してみたい!」と、Harman Kardonが気になる存在になったのです。
そして今回、新製品レビューが実現。ブランドの哲学を継承したサウンドとデザインの魅力に迫ります。
贅沢な3Dサウンド空間をコンパクトなボディが叶える

筆者が体験するのはHarman Kardonの新型サウンドバー「Enchant 900」と、サブウーファーの「Enchant Sub」です。

「Enchant 900」は、前回取材した「Enchant 1100」と同様に、5.1.2chでDolby Atmos®に対応。映画館でも採用されている最新のリアルな3Dサラウンド空間を室内につくり上げます。

55インチの薄型テレビの足元にすんなりと収まるサイズ感。
さらに筆者が惹かれたのは、モダンなルックス。横幅を87cmにまで抑えたコンパクトさは、搭載するスピーカーを9基に凝縮したからなのだそう。日本の住宅事情にもピッタリなサイズ感とリサイクル素材を採用したファブリックの温かみは、導入のハードルをグッと下げてくれます。

せっかく視聴できるならと、今回はミュージカル映画の傑作『ウエスト・サイド・ストーリー』をチョイス。
ミュージカルのシーンではダンサーのステップ音が鮮明に聞こえて、まるですぐそばで踊っているかのよう! さらに、シーンの盛り上がりに合わせて次第に大きくなるオーケストラサウンドが体を包み込んでいきます。

これは壁と天井に音を反射させる独自のMultiBeam技術が、左右はもちろん頭上からも音が聞こえてくるリアルサラウンドを実現しているから。難しい操作や設定をしなくても楽しめる立体音響が、大好きなミュージカル映画をより心踊るものにしてくれました。
サブウーファーは、体に響く重低音を自宅で楽しむための最適解
そして「Enchant 900」と同時に発売されるのが、サブウーファー「Enchant Sub」。この2台を連携させることでより重厚で立体的なサウンドが楽しめます。

16cm径の重低音ドライバーをパワフルな100Wで駆動する本機はサウンドバー同様にコンパクトで、設置場所を選ばないのも嬉しいポイントです。
「Enchant Sub」の天面には、贅沢にアルミニウム素材を使用。音を正確に再現し、かつ高級感を演出。ボディの側面はサウンドバーとお揃いのファブリックに包まれて、四隅のやわらかく丸みのあるデザインはインテリアともうまく調和します。

このサブウーファーを語るうえで欠かせないのが底面の構造です。横から見ると本体を4本の支柱が支えており、その中央には底面リフレクターというパーツの姿が。
まるで富士山のような形状のリフレクターが、下向きに放射された音を360°に拡散し、直接床へ響くことを回避。設置場所の素材にかかわらず力強く正確に低音域を再生することで、マンションやアパートなどの集合住宅でも気兼ねなく重厚なサウンドを楽しめるんです。

さっそく「Enchant 900」とサブウーファー「Enchant Sub」を接続し、次は筆者の大好きな映画『トップガン マーヴェリック』を鑑賞。すると、はじまってすぐに映画の世界へと没入していきました。
セリフの明瞭度を上げる「PureVoiceテクノロジー」によってまっすぐ耳に届く登場人物たちの掛け合い、迫力のサウンドエフェクト、さらにそれらを包み込むように鳴る豊かなBGM。それぞれの音がはっきりと聞こえながらも、お互いを引き立てる。“音響がデザインされているのだ”と、改めて気がつきました。

さらに重低音が「Enchant Sub」によって底上げされ、クライマックスの戦闘シーンはまさに息をのむような大迫力。その没入感は映画館さながらです。サウンドバーとサブウーファーの組み合わせによって、テレビ単体で鑑賞するときとは全く異なる音響体験となりました。
豊かでクリアな音楽のおかげで、心地よい空間が完成する
サウンドバーはテレビ用という認識は根強いものと思いますが、優れたスピーカーであると考えてみればそのイメージもかんたんに覆るはず。
テレビに限らず、「Enchant 900」とスマホをWi-FiやBluetoothで接続させれば、普段聴いている音楽をサウンドバーから再生できるのです。

みなさんは、作業中やリラックスタイムに音楽を聴くとき、ちょっとした音揺れやノイズのせいで気持ちが乱れることはありませんか? 「Enchant 900」は、本体内蔵の2基のマイクで部屋をキャリブレーション(測定)する機能で、オーディオの専門家が調整したような音質補正をボタン一つで実行できます。
ボーカルの安定感・表現力も抜群。部屋のどこにいても快適に“音楽と一緒に暮らす”ことができますよ。

スマホを使った接続はとてもかんたん。無料アプリ「Harman Kardon ONE」をダウンロードすれば、サウンドバーとウーファーの接続やキャリブレーションなどを手元で設定できます。説明を受けなくても、驚くほど直感的に操作できました。

Apple AirPlayをはじめとした音楽配信サービスにも対応。
サウンドバー本体にはドットタイプのディスプレイが搭載されていて、インテリア性を担保しながらも視認性良好。滑らかに流れるディスプレイ表示が、離れた位置から操作するときもしっかりと確認できます。
先進のサウンドクオリティで、毎日暮らす部屋をより愛着のある場所に
日々の忙しさから、自宅では音楽や映画をじっくり鑑賞できないと決めつけて、趣味から遠のいていた筆者。しかし、それは間違いでした。

なぜなら「Enchant 900」と「Enchant Sub」から鳴る素晴らしい音響に身を包まれた瞬間、自然と映像や音楽の世界に溶け込んでいたから。映像美はもちろん大事ですが、優れた音響技術さえあれば、自宅でも映画館やライブ会場のように集中していられるのだと身に沁みました。
インテリアに馴染む上質なデザインと洗練された音響技術を兼ね備えたHarman Kardon。その哲学によって構築される“豊かな音楽表現”や“臨場感溢れるリアルサラウンド”のおかげで、また、趣味を思い切り楽しめそうです。
Photographed by Kenya Chiba



