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夏は暑く、冬は寒い。

四季のある日本では当たり前のこと。しかし、それを「仕方ない」としのぐしか方法はないのでしょうか。

住宅の断熱性を高める「省エネリフォーム」を多く手がける建築家の内山章さんによれば、日本にある住宅の70%が、ほとんど断熱されていない“暑くて寒い”住宅。先進国で、日本の住宅はもっとも性能が低いと言っても過言ではないのだそうです。

住まいの断熱性を高めることができれば、省エネ効果が期待できるだけでなく、夏も冬も快適に過ごすことができます。さらに、内山さんによると、「身体の調子がいい」「気分がいい」といった声も多く、単にエネルギーを節約するだけではない、住む人にとってのうれしい変化もあるそうです。

省エネリフォームの実例を見せてもらいながら、予算別にどんなことができるかを、内山さんに伺いました。

省エネリフォーム、家と暮らしはどう変わる?

建築家の内山章さん

住宅性能が今ほど注目される以前から「断熱とデザイン」の両立を掲げ、住まいの快適さを追求してきた内山さん。主宰するスタジオA建築設計事務所には、口コミが口コミを呼んで断熱リフォームの依頼が絶えません。

依頼者は、新築や中古物件を購入して断熱性を高めたい人、親や祖父母から譲られた古い家で快適に暮らしたい人、やっと手に入れた古民家の“らしさ”を活かしながら断熱性を高めたい人など。そして戸建てやアパート、マンション、古民家、別荘、カフェやクリニックなど、建物の背景も用途もさまざまです。

「断熱性を優先すると、デザイン性が後回しになるのではないか」と思われがちですが、内山さんが手がける物件は、夏は涼しく冬は暖かいだけでなく、“かっこいい”のが特徴です。

実際の施工例をご紹介いただきました。

断熱・採光・通風を整えて、夏も冬も過ごしやすくした家

1つ目は、築約35年の木造住宅をリフォームした神奈川県横浜市に立つ2階建て住宅。LDKは、外壁を残して内側のみスケルトン(骨組みだけの状態)にし、間仕切りと天井を抜いて一室空間に仕上げています。

断熱性とともに耐震性も備えた、開放感ある1階のLDK
画像提供:スタジオA建築設計事務所

壁と屋根の断熱を強化し、主要な窓には高い断熱性能を持つ樹脂製の窓を採用。窓が多くてもエアコン1基で快適に過ごせる広い住空間を実現させました。

窓を多く設けた明るい住まい
画像提供:スタジオA建築設計事務所

窓にも断熱性を持たせている
画像提供:スタジオA建築設計事務所

LDKの写真を見てもらうとわかると思うのですが、窓が多く広いので、一見すると冬は寒くて夏は暑い、外気の影響を直に受けそうな家に見えるかもしれません。でも断熱していれば、こういう間取りでも、夏は涼しく冬は暖かく、いつも快適です(内山さん、以下同)

240㎡の2階建てでも、エアコン2基ですむ家

2つ目は千葉県柏市に立つ、240㎡、2階建てのエコハウス。壁、天井、窓、それぞれの断熱性能を上げたことで、1階160㎡、2階80㎡というかなりの広さの空間を、各階1基ずつのエアコンでまかなえる設計になっています。

こちらは新築ですが、現在の断熱技術でここまで省エネができるという好例。リフォームを考える際は、断熱も併せて考えたほうがよいことがわかります。

LDKをメインにした広い空間に取り付けたエアコンは1基のみ
画像提供:スタジオA建築設計事務所

夏は涼しく、冬は暖かいから、2階もエアコンは1基だけでじゅうぶん
画像提供:スタジオA建築設計事務所

元々の立地や間取り、間仕切りを取り払ってもよいか、など条件によりますが、断熱を強化すれば、新築同様リフォームでもエアコンの設置箇所を減らすことは検討可能だそう。

一般的に120㎡程度の2階建ての家なら、エアコンは各部屋に設置するので、計4〜5台は必要ですよね? それを十数年も使えば買い替えどきがくる。一方、断熱材はずっと使えて、性能も変わらないんです。だったら、エアコンを減らして、本来それにかかるはずだった光熱費や買い替え費用を、断熱リフォームに回したほうがいいんじゃないかなって僕は思っちゃう

家の断熱性を高めると、毎日はどう変わる?

断熱性の高い家は、「節約」「省エネ」が目的と考えられがちですが、実際に断熱リフォームをした人からは、屋内外の温度差に左右されない毎日は、気持ちがほっと落ち着いて、なんだか体も調子がいい。そんな声が多く聞かれるのだそうです。

寝室が寒くないからトイレに起きる回数が減り、朝までしっかり眠れる。外の温度に左右されないからか、しばらく風邪を引いていない。そういえば最近、冷え性が気にならなくなった。ゆっくり眠れているからか、仕事に集中できて自己肯定感が高まった……。そんな言葉を聞いたりお礼の手紙をもらったりすると、ああよかったとうれしくなりますね

施主の娘さんから内山さんに届いた手紙。太陽と太陽光パネルがしっかりと描き込まれている

断熱性の高い家に暮らすことで得られるのは、心身へのメリットだけではありません。

エネルギー自給率の低い日本では、火力発電の燃料の多くを海外に頼っています。家の断熱性を上げてエネルギー消費を減らせば、こうした輸入依存を少しでも減らすことができます。日本が少しでも豊かになるように、そんな思いも、内山さんが断熱に取り組む原動力となっているそうです。

どのぐらいの費用で何ができる? 予算別:省エネリフォーム

壁に断熱材を入れる施工の様子
画像提供:スタジオA建築設計事務所

省エネリフォームに興味は湧いても、気になるのが「費用」です。予算別にできることを内山さんに聞きました。リフォームする住宅のもともとの性能や採用する資材にもよるため、以下で紹介する金額はあくまでも目安です。

<予算100万円なら>

省エネリフォームには、壁や天井への断熱材の設置、断熱窓の導入、太陽光発電や太陽熱を利用したお湯・温風システムなどがありますが、内山さんが特に推すのは「窓」の断熱。住宅の熱の出入りは冬は約50%、夏は約75%が“窓から”なのだそうです。

窓の改修方法にはいくつかありますが、簡単で効果が高くて費用を抑えられるのが「内窓」。健康の要である睡眠を大切にしてほしいから寝室はマストとして、100万円あれば別の部屋もかなりの範囲ができるはず、とのこと。

<予算500万円なら>

予算が500万円あっても、まずは窓の断熱を。そして次にしたいのが、屋根の下や天井に断熱材を足すこと。

夏場の屋根は、素材によっては70〜80℃まで上がります。そうなるとエアコンも効きませんよね。また、暖気は上に、冷気は下に溜まるので、冬場はせっかくあたためた部屋の空気が屋根部分から逃げてしまいます。暑さ・寒さ対策に、天井の断熱材は非常に有効です

そして、意外と“悪さ”をするのが「玄関」。たしかに、夏は暑く、冬は寒い場所ですよね。ここの断熱性が上がれば、ここから各部屋に流れ込む空気の温度が変わります。

しかし、戸建ての玄関ドアは50〜60万円と少しお高め。あくまでも優先順位は1位が窓、次が天井で、余力があれば玄関ドアを検討してもいいとのこと。

<予算1,000万円なら>

窓、天井ときたら、次は「壁や床」、もしくは「お風呂などの水回り」など。近年大きな問題になっている、寒暖差によるヒートショックの対策にもなります。そうなると、住みながらのリフォームではなく、別の場所に仮住まいをして行う“本気のリフォーム”を考える必要があるでしょう。

外壁を残して、内側をフルスケルトンにして、断熱性の高い窓やドアを取り付け、壁や天井、床に断熱材を入れるといった大掛かりなリフォームだと「2,000万円コース」。広さや内容によってはもっとかかる場合もあります。ただ、構造から見直すので、同時に耐震性を高めることもできるというメリットもあります。

融資限度額が最大1,000万円に。省エネリフォームに特化した専用ローン

省エネリフォームをいろいろしようとすると、やはり、それなりのお金がかかるようです。

そこで検討したいのが、省エネリフォーム専用のローン【グリーンリフォームローン】

これまで500万円だった融資限度額が、2025年10月からは最大1,000万円に引き上げられることが決定。断熱性の高い住まいに関心のある人にとって、リフォームの選択肢を広げてくれると注目されているのです。

Image: 住宅金融支援機構

対象となる工事は、窓や壁、天井、床などの断熱改修工事。さらに太陽光発電、高断熱浴槽、高効率給湯機といった省エネ設備の設置も対象です。一定の工事要件を満たせば、その要件にあてはまる工事費の2倍までが融資されます(融資上限は1,000万円)。

たとえば「外壁の省エネリフォームと、部屋の壁紙を変えた」という場合、すべてのリフォーム金額が外壁の省エネリフォームにかかった金額の2倍までに収まれば、ローンでまかなえるということ。省エネリフォームにプラスして、水回りなど別の部分の改修までできてしまうかもしれませんね。

【グリーンリフォームローンで借りられる金額(2025年10月1日〜)】

融資限度額は、次の1〜3のうち、一番低い金額
1. 1,000万円
2. 省エネ工事費の2倍
3. リフォーム工事費(補助金交付額を差し引いた金額)

※「省エネ工事費の2倍」とは…
下記の「省エネ工事」に該当する額を基準として、その2倍を意味します。
たとえば、省エネ工事費が200万円だった場合は、400万円が融資限度額となります。

気になるのがローンの金利ですが、「全期間固定金利」なので返済計画が立てやすく、金利の上がり下がりに一喜一憂することもありません(※)

※最新の金利情報は【グリーンリフォームローン】公式ページの金利情報バナーからご確認ください。

無担保無保証、保証人も融資手数料も不要。国の補助金制度と併用できるというのも、省エネリフォームを考えている人には決め手となるのではないでしょうか。

Image: 住宅金融支援機構

【グリーンリフォームローン】をもっと見る

もっと快適にもっと長く暮らすために

「そこまで予算がないけど、省エネリフォームをやってみたい」という人に、内山さんは住まいの一部分の断熱性を高める「ゾーン断熱」をすすめます。

なにも一度にフルでリフォームしなくてもいいんですよ。“ゾーン断熱”という考え方があって、「子ども部屋のあった2階が物置きになってしまっているから1階だけに省エネリフォームを施す」というのもありだし、「古民家の風合いは残しながら、古民家特有の寒さをしのぐために一室だけ断熱性の高い部屋をつくる」こともできます

「大掛かりなリフォームができなくても、昔、家族みんながこたつに集まったように、一部屋だけ快適にして、その部屋にみんなが集うという暮らし方もいいと思う」と内山さん

夏は暑く、冬は寒い。仕方ないと我慢していた毎日が、住まいに手を入れることで健康で快適なものに変わる。その手段の大きなひとつが省エネリフォームです。

窓1枚だけの工事から、工期をかけて行う大掛かりなものまで、住まいやライフスタイルに応じたいろいろな選択肢から、無理なくできることから取り入れていけたらいいですよね。

そしてその思いが具体的になったら、【グリーンリフォームローン】はきっと頼れる味方になるはずです。

内山章さん
一級建築士、省エネ建築診断士、スタジオA建築設計事務所代表
1968年、横浜生まれ。東京造形大学デザイン科、1997年にスタジオA建築設計事務所を設立。株式会社エネルギーまちづくり社取締役。NPO法人南房総リパブリック理事。関東学院大学非常勤講師。高性能でデザイン性の高いエコハウスの設計・開発、既存建築の性能向上リノベーションやコンバージョンなどに多く携わる。2016年より断熱ワークショップを全国で展開。近著に『断熱学校 学校から脱炭素社会』(共著)がある。

Photographed by Mika Nakayama

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